有限会社から株式会社へ

商号変更のメリット・デメリット

左記メニュー「有限会社から株式会社へ」−「有限会社と株式会社の違い」に記載した一覧表を元に、有限会社から株式会社へ商号変更した場合のメリットデメリットを以下解説します。

デメリット

《取締役の任期》
有限会社では取締役の任期はありませんでしたが、株式会社では原則2年という制限があります。この制限は、全ての株式が譲渡制限付き株式の場合は、定款の定めによって最大10年まで伸長することができます。
よって、最大の10年としても、10年ごとに株主総会によって役員の選任を行い、その登記をする必要があります。また、同じ人が再任された場合も、重任(再びその職務につくこと)の登記が必要です。
《監査役又は会計参与の設置》
有限会社では監査役の設置は任意ですが、株式会社では取締役会を設置する場合は原則として必須です。ただし、全ての株式が譲渡制限付き株式の場合は、会計参与の設置でもOKです。
しかし、従来の有限会社の形態からして、商号変更時に取締役会を置くケースは少ないと思われます。また、監査役又は会計参与の設置は、取引先や融資を受ける場合の金融機関からの信頼性の向上に寄与するため、メリットともなりえます。
《決算公告》
有限会社では決算公告の義務はありませんでしたが、株式会社では決算公告が義務化されています。
広告方法には、定款の定めにより「官報」・「日刊新聞紙」・「電子公告」のいずれかを選択することができます。広告方法を「官報」又は「日刊新聞紙」とした場合は、貸借対照表の要旨のみで足ります。「日刊新聞紙」より「官報」の方が費用が安いため、中小企業では「官報」とする場合がほとんどのようです。
また、広告方法を「官報」とした場合でも、決算公告のみ「電子公告」とする事もできます。この場合には、HPによる広告方法がとれますが、そのHPのアドレスを登記する必要があります。
登記するHPのアドレスは、会社紹介や商品・サービスの宣伝用のHPだけではなく、決算公告専用のHPでもOKです。
詳細は、左記メニュー「必要最小限」−「広告の方法」を参照ください。
(左記メニューは、上部メニュー「Home」に戻ると全て表示します。)

メリット

《経営の規模及び出資者の制限》
有限会社は小規模向けで出資者も最大50人という制限がありましたが、株式会社では小規模から大規模まで対応できます。
《出資の譲渡》
有限会社は社員総会の同意が必要ですが、株式会社では原則として譲渡が自由です。ただし、有限会社から株式会社に変更する場合は、取締役会を設置しない場合が多いと思いますので、取締役会を設置しない場合は、全ての株式を譲渡制限株式とする必要があるため、株式の譲渡には会社の承認が必要となります。
会社の承認とは、取締役会を設置しない場合は原則として株主総会の承認ですが、定款の定めにより代表取締役とすることもできます。
《ブランドイメージ》
会社法を知っている人からすれば、現在の株式会社はピンからキリまである事を知っていますが、世間一般的には株式会社に対するブランドイメージは根強いものがあると思います。
会社法が施行されてから、株式会社より手続き及び費用が手頃な合同会社も設立可能ですが、株式会社を設立する人の方が多いのはこのためだと思います。
また、新卒者の就職先の選定においても、やはり株式会社の方がイメージ的に優先されるのではないでしょうか。
よって、優秀な人材を集める上でも重要だと思います。
これに対して、有限会社はもう設立できなくなったため、老舗としてのブランドイメージがつくのではないかという意見もあるようです。
10年後、20年後に有限会社=老舗の会社というイメージになるか、又は有限会社=古い会社というイメージになるかは私にもわかりませんので、経営者の英断が必要なところです。

 
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