必要最小限

【発行済株式総数】及び【発行可能株式総数】については、株式会社に対する説明です。

発行済株式総数

発行済株式の総数に関する会社法の規定及び発行済株式の総数の決め方を解説します。

会社法の規定

(設立時発行株式に関する事項の決定)
第32条 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
第25条
(中略)
2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
《解説》
上記第32条 第一号『発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数』の合計が、発行済株式総数となります。

発行済株式総数の決め方

会社設立時は、資本金の額=発起人が払い込んだ金銭の額のため、資本金の見積りが完了すれば、1株当りの金額を決定することで、発行済株式総数が算出できます。会社法では、1株当りの価額に対する制限はないため、自由に決める事ができますが、特に理由がなければ計算しやすいように1株1万円とするのが妥当です。例として、資本金300万円であれば、発行済株式総数は300株となります。
発起人が2人以上いる場合は、最低でも持ち株比率が51%となるように、各自分担します。

発行可能株式総数

発行可能株式総数に関する会社法の規定及び発行可能株式総数の決め方を解説します。

会社法の規定

(発行可能株式総数の定め等)
第37条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
3 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
《解説》
発行可能株式総数とは、上記規定にある通り株式会社が発行することができる株式の総数のことです。上記規定の第3項にあるように、原則として発行済株式総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません。ただし、公開会社でない場合は、この制限がありません。公開会社でない場合とは、発行する全部の株式が譲渡制限株式である会社のことです。

発行可能株式総数の決め方

発起人は、会社設立時に引き受けた株式の数で設立時における会社に対する影響力を知る事ができますが、会社設立後に会社が新株を発行する場合に、発行可能株式総数が何株であるかによって、将来的な予測ができます。
ただし、定款変更によって増やす事も可能なためある程度の見込みとなりますが、定款変更には株主総会の特別決議が必要であり、かつ、変更の登記が必要となるため、なるべく変更がない程度にするのが望ましいです。
@公開会社の場合
発行済株式総数の4倍以内とする。
例:発行済株式総数=100株の場合は、発行可能株式総数=400株以下とする。
A公開会社でない場合
将来的に多額の設備投資が見込まれる場合は、その見積りに見合った株式総数とし、特に予定がなければ公開会社に準じて4倍又は5倍程度とする。

 
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