必要最小限

【資本金の額】については、株式会社及び合同会社と共通の説明です。

資本金の額

資本金の額に関する会社法の規定及び資本金の決め方を解説します。

会社法の規定

【株式会社】
(定款の記載又は記録事項)
第27条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
《解説》
定款に記載すべき事項は、『設立に際して出資される財産の価額』又は『その最低額』ですが、設立に際して出資した財産の価額が資本金の額となります。

【合同会社】
(定款の記載又は記録事項)
第576条 持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 社員の氏名又は名称及び住所
五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
《解説》
合同会社は有限責任社員のみの会社のため、『社員の出資の目的』は”金銭等”に限られます。”金銭等”とは、金銭及び現物出資が可能ですが、現物出資は財産評価に手間がかかるため、【標準コース】では金銭のみとしています。
有限責任社員の説明については、左記メニュー「会社設立の基礎知識」−「会社の種類」を参照ください。
(左記メニューは、上部メニュー「Home」に戻ると全て表示します。)

資本金の決め方

@運転資金
世間一般的に、会社設立してから事業が軌道に乗るまで、半年程度かかるといわれていますので、会社設立から半年程度は、売上げがほぼない状態であったとしても、債務超過(経営破綻状態)とならない事が望ましいです。
よって、資本金を決める場合は、以下計算式が目安になります。
資本金=初期費用+必要経費(1ヶ月分)×6ヶ月
《初期費用となるもの》
会社設立費用
賃貸物件を事務所とする場合は、敷金・礼金など
その他設立前にかかる費用
《必要経費となるもの》
営業の経費)
仕入、旅費交通費、荷造運賃、公告宣伝費、接待交際費、貸倒金
事務所の経費)
地代家賃、通信費、水道光熱費、消耗品費、給料賃金、福利厚生費
その他経費)
修繕費、支払手数料、減価償却費、租税公課、損害保険料、新聞図書費、雑費
(必要経費となる項目として、簿記の勘定科目をあげました。)
A許認可
一部の業種では、許認可の要件として、最低限必要な資本金の額が定められている場合があります。許認可が必要な業種につきましては、左記メニュー「会社設立の基礎知識」−「許認可を必要とする業種」を参照ください。
B信用面
仕入先や売上の取引先が企業の場合は、信用調査として法務局から「登記事項証明書」を取寄せて、資本金の額をチェックするのが一般的です。この時、資本金の額があまりにも少ない場合は、取引を断られる可能性が高くなります。よって、取引先の予定がある場合は、あらかじめ調査しておく事をお勧めします。
平成18年に会社法が施行されてから、資本金は1円以上あれば会社設立が可能となりましたが、現実には旧来の有限会社の最低資本金300万円が妥当な目安となると思います。
C2人以上で出資する場合
《株式会社の場合》
友人・知人で会社を設立する場合に、特に2人が同一の額を出資すると、持ち株比率が50%ずつとなり、株主総会決議が議決できない事が想定されます。株主総会決議には、普通決議・特別決議・特殊決議(二種類)・特殊普通決議・総株主の同意と、決議事項ごとに異なる要件が定められています。例として、普通決議は議決権の過半数で議決できますが、特別決議では3分の2以上の賛成が必要となります。
よって、持ち株比率が3分の2以上であれば、ほぼ全ての事項が議決できますが、少なくとも過半数となる事が望ましいです。
詳細につきましては、当事務所作成「定款記載事項(補足説明)」に記載しておりますので、業務をご依頼された方に配布しております。
《合同会社の場合》
持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)の運営は、原則として以下の通りです。
持分の譲渡:社員全員の承諾
業務の執行の決定:社員の過半数
定款の変更:総社員の同意
例外として、定款にて別段の定めをする事ができますが、【標準コース】につきましては原則通りとします。
よって、原則として社員の出資額は法的には会社運営に影響しませんが、実務的には出資額が多い人の意見を尊重するなど、あらかじめ取り決めをしておく事をお勧めします。

 
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