必要最小限

【公告の方法】については、株式会社及び合同会社と共通の説明です。

公告の方法

公告の方法に関する会社法の規定、公告が義務付けられている場合及び公告の方法の決め方を解説します。

会社法の規定

(会社の公告方法)
第939条 会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。
一 官報に掲載する方法
二 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
三 電子公告
《解説》
@官報に掲載する方法
官報とは国の機関誌のことで、独立行政法人国立印刷局が編集及び発行をしています。従来の紙による発行以外に、インターネット版の官報もあります。
広告のスペースによって料金が異なりますが、一番小さいパターンで6万円程度です。詳細については、「官報」HPにあるPDFのパンフレット「会社法 決算公告のすすめ」に記載されています。 リンク先は、左記メニュー「会社設立の基礎知識」−「リンク集」を参照ください。
(左記メニューは、上部メニュー「Home」に戻ると全て表示します。)
A時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
日刊の新聞紙であれば、全国紙でなくても地方紙でもOKです。しかし、公告掲載料が官報より高いため、中小企業ではあまり利用されていません。
B電子公告
インターネット上で公告をする方法です。この場合は、電子公告調査機関へ調査委託することが義務付けられていますが、株式会社の場合は、事業年度ごとの決算公告(以下第440条)は調査機関による調査は不要です。また、合同会社(持分会社)の場合は、事業年度ごとの決算公告は義務付けられておりません。
決算公告用のホームページは、他の公告事項についてのホームページとはリンクのない別のアドレスのものを登記することができます。よって、会社のメインのホームページとは別のアドレスを登記することで、会社のホームページを訪れる人からは見られないようにできます。
電子公告調査機関とは、法務大臣の登録を受けたもので、主に民間企業が登録を受けてます。料金については、登録年が古い会社は官報より高く、新規参入組は低価格で官報と同じか、又は官報の公告スペースによっては安くなる傾向があります。
詳細につきましては、左記メニュー「会社設立の基礎知識」−「リンク集」を参照ください。

(計算書類の公告)
第440条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、その公告方法が第九百三十九条第一項第一号又は第二号に掲げる方法である株式会社は、前項に規定する貸借対照表の要旨を公告することで足りる。
3 前項の株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、第一項に規定する貸借対照表の内容である情報を、定時株主総会の終結の日後五年を経過する日までの間、継続して電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとることができる。この場合においては、前二項の規定は、適用しない。
4 金融商品取引法第二十四条第一項 の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については、前三項の規定は、適用しない。
《解説》
上記第2項の規定により、公告方法を”官報”又は”日刊新聞紙”とした場合は、公告する内容は貸借対照表の要旨でOKです。
上記第3項の規定により、公告方法が”官報”又は”日刊新聞紙”の場合でも、貸借対照表の公告方法を”電子公告”とすることができます。ただし、この場合は、貸借対照表が掲載されるホームページのアドレスを登記する必要があります。
また、”電子公告”による貸借対照表の公告期間は、定時株主総会の終結後5年間継続して行なう必要があります。

公告が義務付けられている場合

会社法において公告が義務付けられている場合とは、商品やサービスの公告とは別の事で、株式会社の事業年度ごとの決算公告(上記第440条)のほか、会社の合併資本金の額を減少する場合などがあります。この場合は、会社の株主や債権者に重大な影響をおよぼす事項に対するもので、日常の業務において公告が必要となる場合はありません。
また、公告を義務付けている場合に、公告方法が”官報”でする事が義務付けられている場合と”定款の定めによる広告方法”と二通りあります。上記の例以外にも、会社法により公告が義務付けられている場合は数多くあるため、当事務所では「定款記載事項(補足説明)」に記載しておりますので、業務をご依頼頂いた方には配布しております。

公告の方法の決め方

@HPを作成する予定がない場合
日刊新聞紙より公告掲載料が安い官報がお勧めです。
AHPは作成するが、業者に委託する場合
業者に委託すると広告料より高い料金が必要となるため、上記と同様に官報がお勧めです。
B自分でHPを作成できる場合
以下二通りが考えられます。
・広告方法を官報として、決算公告のみHPとする。
・広告方法を電子公告とする。
新規に登録された指定調査機関では、官報と同程度の料金か、又は官報の公告スペースによっては安くなる場合もありますが、その会社の存続や料金が保障されている訳ではありません。よって、無難な選択としては官報ですが、リスクはあっても少しでも安くしたいと考えるのであれば電子公告を検討される事をお勧めします。

 
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